2011 Fiscal Year Annual Research Report
語学留学生の社会関係資本としての目標言語使用機会の獲得に関する研究
Project/Area Number |
22720219
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
深田 芳史 明星大学, 人文学部, 教授 (60350279)
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Keywords | 留学生 / ソーシャルネットワーク / ELF / Near Peer Role Model / Scaffolding |
Research Abstract |
昨年度は、初年度に引き続き、アメリカ(カリフォルニア州、ロサンジェルス)でデータ収集を行なった。初年度同様、受け入れ先の大学(California State University, LosAngeles)が全面的に協力してくれた為、新たに128名の留学生からアンケートデータを収集し、その内16名にはインタビューも実施することができた(アンケートデータ合計:242;インタビューデータ合計:26)。また、昨年度は、ESLクラス内で留学生同士の英語会話を合計で10時間以上録音することにも成功した。初年度から見られた傾向であるが、昨年度も、多くの留学生から他の国からの留学生/非英語母語話者とのやりとりが、英語を話すことへの自信の強化、そして、自身の英語能力向上につながっていることを示すデータが多く得られた。 昨年度からアメリカでのデータ収集と並行して始めた所属大学で実施している明星サマースクール(本プロジェクトでは、明星大学生と非英語圏の世界各国からやってきた国際ボランティアがチームを組んで、小・中学生に英語を教える。その為の準備として参加者たちは、ミーティング、教案/教材作り、リハーサル等をすべて英語で行なう。また、授業自体もほぼ英語で行なう。)でのデータ収集/分析の結果からも(1)他国出身の非英語母語話者は、英語学習者のNear Peer Role Model(Murphy & Arao, 2001)になりうること、(2)多くの英語学習者にとって、英語母語話者よりも非英語母語話者との方が安心して英語でコミュニケーションできること、(3)非英語母語話者同士の英語のやりとりは重要な英語学習機会であることが明らかとなり、また、非英語母語話者同士が互いにサポートし合いながら会話を進めていくプロセスも明らかにすることができた(サマースクールでのデータ収集/分析結果は、ELF4国際学会、JALT2012学会で発表し、また、JALT2012ではProceeding spaperも提出)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は、当初予定していたよりもはるかに多くの量のデータを収集することができている。また、当初予定していなかった場所(明星サマースクール、日本)でもデータ収集を行ない、学会発表2回、Proceeding spaperを執筆できたこと、そして、昨年度、本研究の新たな方向性を見出すことができた点は評価すべき点である。しかし、アメリカでのデータ収集が、昨年度も学年度末(2012年2月末から3月初旬)であった為、現時点ではまだ詳細なデータ分析ができていないことは反省すべき点と言えるであろう。これらの点をすべて考慮し、「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでアメリカで集めたデータを分析し、さらに論文執筆/学会発表を行いたい。 また、今年度は、特別研究員としてハワイ大学に滞在している為、Dr. Kathryn Davisのアドバイスを受けながら研究にCritical ethnographyの手法を取り入れ、留学生の英語学習/英語によるやりとりへのInvestment、そして、彼らの英語話者としてのアイデンティティーが留学先で構築したソーシャルネットワークの中で、様々な困難も乗り越えながらどのように変容していくのかという点についても詳しく調査をしていきたい。
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Research Products
(3 results)