2010 Fiscal Year Annual Research Report
異文化間介護・医療の現場におけるコミュニケーションの研究
Project/Area Number |
22720221
|
Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (60449113)
|
Keywords | 異文化間介護 / 異文化間医療 / 国際研究者交流 / タイ王国:オーストラリア / コミュニケーション / 文化的に多様な背景を持つ看護師・介護士 / 病院通訳 |
Research Abstract |
本研究は、異文化間介護・医療の現場におけるコミュニケーションのあり方を考察するために、オーストラリアとタイ王国の事例を中心に検討するものである。これによって、近年日本で始まった外国人看護師・介護士の導入への示唆を得ることができると考える。 初年度の本年は、まず、理論研究として、異文化コミュニケーション論、医療コミュニケーション論、通訳理論などを概観した。その上で、オーストラリアの事例を検討した論考「オーストラリアの高齢者施設で働く文化的言語的に多様な背景を持つ介護士・看護師を取り巻く状況についての考察」早稲田大学オーストラリア研究所編『世界の中のオーストラリア』オセアニア出版(平成23年10月頃発行予定))を執筆した。同論文では、オーストラリアの異文化間介護・医療の状況について、高齢者施設における外国出身の介護士・看護師の多文化多言語的な状況の統計的概観や外国出身者が介護士・看護師資格を取得する際の仕組みの検討に加えて、これまで国内では取り扱われてこなかった職場で課題とされているコミュニケーション上の問題などを考察し、今後の研究の基礎とすることのできる示唆を得ることができた。この内容は、オーストラリア学会(平成23年6月早稲田大学)でも発表予定である。 また、上記に並行してタイ王国での調査(22年9月、平成23年1月、2月)を行った。成果としては、一般的に調査が難しいとされる病院現場において研究の起点となる人脈を広げられたこと、そして異文化間医療の現場で働く人々にインタビューを行えたことなどがあげられる。具体的には、バンコクの複数の国際病院におけるマネージャーレベル(3名)、病院通訳(6名)、日本人患者(4名:うち日本での医療従事経験者2名)などからの聞き取りを行った。調査時に得た情報をもとにした論考は、次年度中に発表する予定である。
|