2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランス植民地期北アフリカにおける多元的法制の展開
Project/Area Number |
22720234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 晶人 大阪大学, 人間科学研究科, 特任研究員(常勤) (40513156)
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Keywords | 歴史学 / 植民地 / 法社会史 / フランス / アルジェリア |
Research Abstract |
1)本年度研究費の主な使途は、資料調査(フランス国立図書館、フランス国立公文書館海外部門)および学会報告(French Colonial History Society Annual Meetingにおける研究発表)のための海外旅費(2010年6月)、ならびに関連資料と文献の収集(フランス植民地史以外に、ヨーロッパ法、イスラーム法の比較法研究に重点をおいた)であった。2)本年度の作業は、1870-90年代アルジェリアにおけるフランス人によるイスラーム法研究の展開に重点をおいて考察をすすめた。その成果は、査読雑誌論文(1点)ならびに海外学会報告2回(上述学会および東京外国語大学中東研究日本センター(JACMES)主催ワークショップ、於ベイルート、2010年11月)において公表した。関連する成果としては、植民地における都市問題に関する論文1点(書籍分担執筆)もある。3)初年度の成果として、従来の研究において注目されてこなかった植民地域内におけるヨーロッパ人実務家の知識生産について、さらに研究を進めるための基礎的見通しが得られた。本年度に公表した論文の題目「フランス東洋学の伏流」がしめすように、植民地における知の展開は、植民地宗主国とやや異なる潮流をもつ。この思想史上の盲点ともいえるこのテーマについて、来年度は以下の見通しでさらに研究を継続する。第一に、比較史の視点をさらに深あること、第二に、複数の法体系のあいだでの概念の翻訳と移転というテーマについて具体的な考察を進めることを目標とする。
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Research Products
(5 results)