2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランス植民地期北アフリカにおける多元的法制の展開
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22720234
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
工藤 晶人 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 講師 (40513156)
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Keywords | 歴史学 / 植民地 / 法社会史 / フランス / アルジェリア |
Research Abstract |
1.本年度研究費の主な使途は、史料閲覧用の電子機器ならびに図書類の購入にあてられた。図書の分野としては、本年度も昨年度に引き続き、フランス植民地史・ヨーロッパ法とイスラーム法の比較法研究に重点をおいた。また、近年議論の活発なグローバル・ヒストリーや新しい世界史といった問題的を含む関連書籍についても積極的に収集した。 2.本年度の研究成果は、国内の研究会における日本語の報告が一回(2012年2月)、国際ワークショップにおける報告が一回(2011年12月)である。 3.具体的な研究成果としては、(1)19世紀のアルジェリアにおける植民地法学の流れを、19世紀中葉の形成期から19世紀末の転換、期、20世紀初頭の安定期という各段階において把握し、(2)地中海世界において生成された植民地法を、広い意味での法文化の移転と流通という視点からとらえ直すきっかけを得た。また、副次的な成果として、近世から近代への移行期における国際法の思想とフランス=アルジェリア関係の連関についても、基礎的な知見を得た。 4.来年度にむけては、以上の成果を(1)アルジェリアにおける具体例によってさらに補強する、(2)他の地域との比較を試みる、(3)植民地の政治地理などの視角をまじえて考察する、等の方法でさらに具体化していく予定である。それによって、法域の多元性に植民地の空間構造を明らかにし、日常世界のミクロな動態に接近するという本研究の目標を達成することをめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の研究発表は学会報告2件のみにとどまったが、平成24年度中にこれまでの研究成果をまとめた単著を出版する計画で準備を進めている。全体として、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記した目標を達成するためには、あらためて一定量の資史料を入手し、分析を行うことが必要である。そのため、今年度の研究費の主な使途として図書購入費と海外渡航旅費を計上した。 研究計画の変更は特におこなわない。解決困難な研究遂行上の問題も、現時点で生じていない。
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Research Products
(2 results)