2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴き取りと物質文化資料の調査による日本列島北方域の交易変容に関する包括的研究
Project/Area Number |
22720236
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
東 俊佑 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (30370224)
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Keywords | 先住民 / アイヌ / ニヴフ / サンタン / サハリン / 樺太 / 博物館 / 交易 |
Research Abstract |
日本列島北方域の交易(アムール川下流域・サハリンにおけるアイヌ・ニヴフ・ウリチ等諸民族の交易活動)の19世紀中頃以降の変容過程解明のため、サハリン北部における先住民からの聴き取り調査や博物館等における物質文化資料調査を行った。 本研究における調査の中心は、2011年2月に実施したサハリン調査である。聴き取り調査は、サハリン北部ネクラソフカ村のニヴフ数名から行った。その内容は、交易の事実に対する認識の有無、交易品(中国製絹織物、ガラス玉、中国古銭、真鍮製飾り等)についてである。インタビューを通じて、(1)話者の親や祖父母の代までにおける大陸との交易の事実、(2)1920~30年代スターリンの「大粛清」の影響による中国渡来の交易品の廃棄や隠蔽の事実、(3)交易品の大部分の装飾品としての女系継承、等である。 物質文化資料調査は、民族衣装の裾に付けられる真鍮製飾り(ヴチ)を中心に行った。サハリン州郷土博物館やノグリキ市博物館、あるいはネクラソフカ村個人所蔵のもの等について、調査を行った結果、十数種類の形態のものがあることがわかった。また、その用途や由来について、先住民からのインタビュー調査も行った。 真鍮製飾りは、19世紀中頃以前の日本の記録では、交易品として取引されていたのか定かではない。しかし、現存のサハリン先住民の民族資料に確認できることから、次年度以降は、これの分布や形態、由来にターゲットをあて研究を進めていく予定である。
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