2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本社会における「戦争体験の語られ方」とその社会的影響に関する研究
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22720237
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 俊也 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (80311132)
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Keywords | 戦争 / 慰霊 / 顕彰 / 日中戦争 / 太平洋戦争 / 戦死者 / 追悼 / 軍事援護 |
Research Abstract |
本年度は、研究初年度として、「近代日本における戦争体験の語られ方」を示す具体的な史料収集という基礎的な作業に努めた。具体的には、先行研究のサーベイを行いながら、戦争体験記や各市区町村で作成された慰問文・戦争記念誌・戦死者追悼録などの史料を購入・複写などの手段により入手した。さらに後者については、アルバイトを雇用して必要な箇所を入力させ、データベースを作成した。 この作業を通じて、戦前の地域社会など兵士たちの苦難や死を何とか意味づけしようとしつつも現実にはその論理を見いだすことが出来なかった、もしくは見出そうとする意志を実は持たなかったという事実の一端を浮かび上がらせることが可能となった。 本作業は、平成22年8月に刊行した一般向けの著書『故郷はなぜ兵士を殺したか』執筆の最終段階においてその内容を深化させるうえで有益であり、したがって本研究の成果を平易なかたちで社会に還元することが出来たと考えられる。 一方、反省点としては、所属機関における情報・史料の収集にとどまり、当初計画していた全国各地の史料所蔵機関における調査を十分に行えなかったことが挙げられる。次年度以降は計画の遅れを取り戻すべく、各地への史料調査を行って必要な情報の収集と分析に努めたい。
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