2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本社会における「戦争体験の語られ方」とその社会的影響に関する研究
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22720237
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 俊也 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (80311132)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 日本近現代史 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度として、各種の図書館・資料館・博物館などを調査のうえ戦友会史、遺族会史を収集、それらの中から個人の戦争体験に関する文章を抽出し、体系化する作業を行った。また、戦時中の日本軍が発行した各種の教範や戦訓報告類を収集・分析し、当事者、個人の体験を大局的な戦争史のなかにいかに位置づけ、総合的に理解できるのかについて考察を加えた。さらに、戦時中のアメリカ軍が発行していた各種の兵士マニュアルなどを分析し、日本人以外の視点を導入することによる「日本人の戦争」体験の客観化に関する作業を行った。以上の文献より抽出した必要な箇所は整理・複写のうえ、謝金を活用してコンピューター入力を行い、研究の効率化・迅速化をはかった。 本研究による研究成果の一部は『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」 帝国陸軍戦法マニュアル』(文藝春秋、2012年)として公表した。同書において、戦後語られた「戦争体験」を日米両軍の資料などと比較分析することによってその客観性を深め、かつ戦争の実像をより掘り下げて描けたことは、本研究の重要な成果であると考えられる。資料の収集と分析作業は年度末に至るまで継続し、日中・太平洋戦争に関わる個人的体験と大局的状況の関係性、戦後語られた「戦争体験」の客観化の問題についてさらに思索を深めた。研究は今年度で終了となるが、得られた知見については今後も随時活字化し、公表して批判を仰ぐことにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)