2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720247
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三村 昌司 神戸大学, 人文学研究科, 助教 (40525929)
|
Keywords | 日本史 / 明治新政府 / 公議 |
Research Abstract |
平成22年度は、公議所での「議論のあり方」について、これまでの研究をさらに精緻化するために、公議人が公議所における「議論」をどのように考えていたかについての意識を探ることを目的としたサンプルデータの収集につとめ、次年度の本格的な分析に備える準備を整えた。 具体的には、栃木県公文書館に収蔵されている「秋元家文書」と「三田家文書」の調査を行い、公議人が書いた日誌や、関係する史料の調査を行った。とくに喜連川藩の公議人をつとめた秋元与助が記した日誌は、当時の公議所がどのように運営されていたかを知ることができる貴重な内容を含んでおり、公議所の実態を明らかにすることができるものである。 また、国立国会図書館において幕末維新期において「議論」がどのように考えられていたかについての史料調査を行った。具体的には大久保一翁文書・三条家文書・西周関係文書の調査を行い、「公議」概念や「議論のあり方」に関連する史料の調査と蒐集を行った。 ほかには、(1)佐倉藩の公議人をつとめた依田学海が記した『学海日録』のなかから公議所関係の記事を抽出、(2)三田藩公議人をつとめた九鬼求馬関連の資料が含まれる兵庫県三田市九鬼家資料の調査、(3)『元老院会議筆記』『明治前期地方官会議史料集成』、兵庫・埼玉の明治12年の県会議事録、兵庫県内地方新聞の調査も並行して行った。これら、公議人関係史料と明治前期議事機関関係史料を総合的に検討することで、より立体的に維新期の「議論」の様相が明らかになり、さらにそれが近代日本における「議論のあり方」をさぐるひとつの基準になるのではないかという見通しを得た。
|