2012 Fiscal Year Annual Research Report
近世阿波における山村の地域特性に関する構造論的研究―生業・流通・社会構造―
Project/Area Number |
22720248
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60380135)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 山村 / 近世 / 阿波 / 地域 / 村落 / 御林 / 請負 |
Research Abstract |
まず、本研究の中で網羅的に収集した山村関係資料をもとに、徳島藩の御林に関する制度史的検討を行い、論文「近世前期徳島藩における御林制度」として発表した。17世紀初頭に御用林確保の場として設定された御林に加え、17世紀中葉以降には「新御林」と呼ばれる御林が新たに設定され、あわせて五木・七木の留木制度を伴いながら、藩による森林統制が敷かれたことを解明した。 その上で御林の実態を、那賀川中流域と三加茂地域を対象に比較類型的に解明した。「林業地帯」とされる前者においては、当該御林を管理した御林番人の史料を分析し、近世初頭に設定された御林Aに加え、17世紀後半に新たに設定された御林B、さらに18世紀中頃に設定され地元百姓によって請け負われた小規模な御林C(定請名負林)が存在していることを確認し、御林の3類型を析出した。御林Aについては那賀川河口の材木業者や徳島城下町周辺の資金投下によって大規模な伐出請負が展開したこと、一方の御林Cでは地元百姓が確保するという対比的な現象が存在した。しかし、いずれにおいてもその権利が転売される場合も確認できる。すなわち、当該村外からの「資本」が流入することによって地域の変容が展開していることが明らかとなった。この成果については論文「近世前期徳島藩の御林と御林番人―那賀川中流域を事例に―」および論文「近世後期における徳島藩の御林と請負―那賀川中流域を事例に―」として発表できた。 一方、三加茂地域での御林は、18世紀後半に新たに御林に設定された「新御林」の事例で、惣山の裾野に帯状に広がる御林の分布および植生について検討した。百姓による小規模な請負によって実質的に彼らに用益されていることを解明した。論文「近世後期の『新御林』に関する一考察―三好郡加茂村を事例に―」として発表することが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)