2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22720262
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 篤志 山形大学, 人文学部, 准教授 (60372330)
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Keywords | モンゴル / 王公 / 地域社会 / 遊牧 / 地縁 |
Research Abstract |
本研究は、清朝治下のモンゴル遊牧社会において、清朝の統治制度とは別に基層社会を規定していたとされる王公の血統分枝集団「バグ」に関する従来研究を発展させ、さらに、遊牧社会の基層を規定すると考えられる地縁的社会集団の具体的機能さらには両者の関係性を解明することを目的とする。さらに清朝統治・王公支配・地縁結合といった各種の問題を包括した新たなモンゴル遊牧社会像の構築を目指す。 本年度は研究の二年目に当たり、特に先行研究で全く注目されてこなかった内モンゴル・フルンブイル地域の地縁集団についての調査を本格化した。期間中の主な調査活動は、2011年9月に中国内モンゴル自治区において現地調査をおこなったほか、2012年3月には中国北京市で史料収集などを実施し、国内においても史料収集をおこなった。 これらの調査を通じて、内モンゴル・フルンブイル地域の地縁集団については概ねその全容を把握することができた。当該地域にはアイマグと呼ばれる地縁的な地域内小集団が存在し、数十戸の単位で、牧地の決定や移動、祭祀などを共働していた。その地理的分布もほぼ明らかになった。今後は文献資料などをさらに精査しつつ、近現代においてアイマグがいかに変容したかなどを考察し、このような地縁的集団が持つ歴史的意義・学説史的意義をまとめたい。 モンゴル国に関する研究は、その成果の一部を学術論文として公開した。清朝の統治機構が実際の地域社会でいかに機能していたかを現地一次史料を使って分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な調査対象である二地域のうち、内モンゴル・フルンブイル地域の地縁集団については概ねその全容を把握することができた。モンゴル国についてもその成果を学術論文として公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
内モンゴル・フルンブイル地域の分析は、従来研究で未解明の領域であり、最終年度はこの研究成果の公開に力を入れる。モンゴル国に関する研究も一次史料のさらなる収集が不可欠であり、過去2年の成果に基づき効率よく史料を収集し、成果公開につなげる予定である。
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