2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720262
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 篤志 山形大学, 人文学部, 准教授 (60372330)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | モンゴル / 王公 / 地域社会 / 遊牧 / 地縁 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度にあたり、主に内モンゴル・フルンボイル地域の地縁結合について、最終調査と成果発表をおこなった。2012年8月、2013年1月に台湾において補強する文献を調査・収集したほか、国内における史料収集を積極的におこなった。研究成果としては、2012年5月の日本モンゴル学会において発表する機会を得たほか、王公支配に関する研究成果として、2012年10月に韓国における国際学会で発表する機会を得た。論文・書評3編を出し、さらに1編を別に投稿済みである。 フルンボイルの事例では基本行政単位の下に「アイマグ」と呼ばれる10-30戸ほどからなる集団が形成されていた。アイマグは主に夏営地の特徴的ランドマークによって弁別される地縁的組織で、冬季の頻繁かつ広範囲な移動を相互に扶助するなど、当該地域の自然環境と生業形態に根ざした、世帯を越えた広域の協業組織として機能していた。このアイマグは概ね清末から1945年まで存在したと思われ、時々の政治変化を経ながらも、常に社会の末端で人々を束ねる基層組織として機能したことが確認された。 フルンボイル地域におけるかかる社会的結合の存在は、従来議論されてきた王公を軸とする地域統合のさらに下位に、自然環境や生業形態に根ざした社会関係のまとまりが存在した可能性を示唆する。本研究によって、王公を軸とする社会結合と、遊牧生活に根ざした地縁的結合それぞれの在り様が明らかになった。前者については研究蓄積が進みつつあるが、特に後者は従来ほとんど研究されてこなかった問題であり、文化人類学など周辺領域とも密接に関わる問題である。今後、本研究をひとつのモデルとして、モンゴル遊牧社会における社会的結合の在り方とその歴史的変遷について、諸地域・諸分野の事例と比較しながらさらに研究を進める可能性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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