2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア進出前後の中央アジア社会に関する歴史地域学の試み
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22720263
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30570197)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 東洋史 / 中央ユーラシア史 / ヒヴァ・ハン国 / 国際情報交換 / ウズベキスタン / ロシア |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続きロシア・サンクトペテルブルグ市に所在するロシア国立歴史文書館、ロシア国立図書館、ロシア科学アカデミー東洋写本研究所等において調査を実施し、19世紀から20世紀初頭にかけてのヒヴァ・ハン国関連史資料、ロシア帝国のトルキスタン統治に関する行政文書、および露亜銀行の中央アジアにおける経営に関する文書史料を閲覧、複写、分析した。 また、次年度(平成25年度)が研究計画最終年度であることを踏まえ、研究課題に関連する図書の整備を進め、中央アジア近現代史および帝政ロシア史関係の図書を購入した。 研究成果の公表については、本研究課題に関わる学会報告を海外において2回(Central Eurasian Studies Society および British Association for Slavonic and East European Studies [BASEES]/International Council for Central and East European Studies [ICCEES]、いずれも査読有)、国内において3回実施することができた。なお海外での学会報告に際して、Alexander Morrison 氏を中心とした若手の中央アジア近現代史研究者と研究内容について意見交換を行っている。また論文として、「ハンと企業家―ラウザーン荘の成立と終焉1913-1915―」(『「東洋史研究』71-3、58-84頁)、「帝政末期アムダリヤ流域の灌漑利権問題に関する一考察―ラウザーン荘設立をめぐるロシア=ヒヴァ・ハン国関係の変遷、1913-1915年―」(『メトロポリタン史学』8,、107-129頁)を公刊することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年10月より筑波大学人文社会系助教に就任し、新たに講義・演習の担当、および学内業務に従事することになった。こうした活動は研究の視野を広げる一方、当初予定していた科研の研究計画のエフォートを修正することになった。新たなエフォートの設定のもと、おもに灌漑史の展開を軸に地域の特質を理解する研究を進め、現在その成果を単著にまとめる作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成25年度)は、研究計画最終年度であり、研究成果の公表に全力を投入したい。現在『中央アジア灌漑史序説―ラウザーン運河とヒヴァ・ハン国の興亡―』というタイトルの単著出版に向け編集作業を進めている。本書は、灌漑史の展開を軸に、現地政権と遊牧集団、ロシア帝国政府と金融資本、現地ムスリム改革派知識人など様々なアクターが、近代的な思想や設備の導入を試みていく過程と、その過程が地域の自然環境の変化と相互に関連しあっていたことを、文書史料を中心とした一次史料を軸に、実証的に論じていく予定である。
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Research Products
(6 results)