2011 Fiscal Year Annual Research Report
10~13世紀ユーラシア東方における外交儀礼と国際秩序
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22720267
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古松 崇志 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (90314278)
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Keywords | 〓淵の盟 / 〓淵体制 / 外交儀礼 / 国際関係 / ユーラシア東方史 / 東ユーラシア史 / 遼宋関係 |
Research Abstract |
本研究は、11世紀から12世紀にかけて契丹・宋間で相互派遣された使節(国信使)の外交儀礼制度を、その起源と後代への影響についても視野に入れながら、その特質と変容過程を、王朝断代を越えて考察するものである。前年度に収集した史資料の整理・読解・分析を進め、論文執筆の準備をおこなった。現段階では、契丹・宋間でおこなわれた外交儀礼の起源については、契丹と中原に拠った沙陀国家(中国史にいう「五代」諸政権)のあいだの比較的対等な関係に由来する可能性が高いとの見通しを得ている。また、契丹における外交儀礼は、唐制に由来する中国王朝の賓礼を大幅にとりいれつつ、遊牧国家の伝統と融合した新しい形を持ったものであることを明らかにしつつある。 そのほか、本研究の基礎となるものとして、10世紀から13世紀にかけてのユーラシア東部の国際関係についてのこれまでの研究史を概観し、今後の展望を示すべく、研究動向を発表した。そこでは、(1)戦前の日中における満蒙史・東北史研究の盛行による研究の開始(2)「中華世界秩序」を相対化する70~80年代の台湾や欧米の研究者による10~13世紀東アジアの多国体制という枠組の提起(3)近年の日中における宋朝中心視の相対化と遼金史見直しによる新展開、という研究史の流れをあとづけた。そのうえで、研究代表者が提唱してきた、〓淵の盟による契丹・宋間の和平関係を基軸にしてユーラシア東方における平和維持のためのしくみが創出されたとする「〓淵体制」について、比較的詳しく解説した。さらに、中央ユーラシア史とのつながりのなかで、この時代のユーラシア東方史をとらえなおすべきだとする今後の研究の課題を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料の収集と分析はじゅうぶん進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに収集した史料の整理・読解・分析を深め、研究成果として学術雑誌に論文を発表する予定である。
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Research Products
(7 results)