2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代ハプスブルク帝国の社会政策にみる個人・中間集団・国家の関係史
Project/Area Number |
22720280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桐生 裕子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (10572779)
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Keywords | 西洋史 / 東欧 / 中欧 / 社会政策 / 帝国 |
Research Abstract |
ハプスブルク帝国においては、1880年代から社会政策をめぐる議論が本格的に開始された。申請者の長期的な研究課題は、これらの社会政策をめぐる議論と実現の過程を検討することを通じて、近代ハプスブルク帝国における個と共同性の関係史、個人・中間集団・国家の関係史を描き出し、近代におけるハプスブルク帝国の変容とその特質とを明らかにすることにある。本研究は、その長期的な研究の一環を成し、1893年に帝国政府によって提案された強制加入制の農業組合をめぐる議論を、帝国における社会政策の展開に位置づけつつ考察することを目的とするものである。 本研究の研究初年度にあたる平成22年度においては、(1)方法論的な研究枠組みの構築、(2)個別的な実証研究を進めるための史料収集と分析、というふたつの作業を並行して行なった。 具体的には、(1)にかんする作業として、(1)ハプスブルク帝国およびドイツ、イギリスなど他地域の社会政策、社会問題にかんする先行研究の整理・批判的検討、(2)社会政策、社会問題など本研究にかかわる理論的研究の整理・批判的検討、を行った。(2)に関連する作業としては、ウィーンおよびプラハの文書館・図書館において、帝国農業省や領邦農業組織の文書史料、帝国議会・領邦議会の議事録、農業組織および社会政策学会をはじめとする諸関連組織の出版物などの収集を行った。現在は(1)の作業をもとに、本研究の分析枠組みの構築をはかるとともに、(2)の作業を通じて収集した史料の分析を進めている。
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