2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22720287
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
梅津 信幸 茨城大学, 工学部, 助教 (30312771)
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Keywords | 画像認識 / ネットワークサービス / 考古学 / アルゴリズム / ラスター・ベクター変換 |
Research Abstract |
考古学における遺構実測図は、貴重な情報源でありながら手描きの紙面のまま活用されず死蔵されていることが少なくない。本研究では、そのデータの効率的な活用のため、現在は人力に頼っているデジタルデータ化(ラスター・ベクター変換)を、画像処理によって支援することを目的としている。 実施計画において1年目の課題として3項目を掲げた。第一の課題であった線分の抽出精度の向上は、ピクセル点の逐次抽出から、周囲の接続状況を考慮した深さ優先探索に変更することで達成された。さらに、抽出中の線分の重心を考慮し曲線が凸形状となるようにし、岩石状の物体がより抽出されるよう改良した。第二の課題(抽出された線分の制御点の削減)は、抽出された点列の各部の曲率を求め、その値の大きい箇所の制御点を優先的に除去することで実現できた。結果として、線分列を構成する点の数は1/3から1/4に減少するとともに、画像中の微小なノイズに起因する影響が低下した。第三の課題として、100枚程度の実物の実測図に適用して評価を行う予定であったが、実際には実測図の入手に手間取り、10枚程度への適用に留まった。実測図は手描きであるたあ、研究チームや作成者によって描画のしかたや濃度にばらつきがあるため、それらを効果的に反映するためのアルゴリズム調整が必要であることが判明した。 年度後半から、実装したアルゴリズムとその評価に関して論文の準備を進めていたが、年度末の東日本大震災の影響等もあり、やむなく翌年度の至急の課題と変更した。当初の研究計画に沿って概ね順調に遂行できていると評価する。 23年度はまず、より多数の実測図を入手するとともに、研究計画に沿って、実測図に含まれる差異に効果的に対応するようアルゴリズムを改良するとともに、その処理をネットワークサービスとして提供し、成果の早期の公表に努めていきたい。
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