2010 Fiscal Year Annual Research Report
立石寺の庶民信仰の実態的解明と霊場としての景観復元
Project/Area Number |
22720293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
荒木 志伸 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究員 (10326754)
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Keywords | 立石寺 / 石造文化財 / 霊場 / 奥の院 / 供養碑 / 納骨 |
Research Abstract |
本年度は、奥の院地区の石塔悉皆調査をおこなった。事前に、立石寺本坊・奥の院(華蔵院をはじめとする四院)や関係機関との綿密な打ち合わせをした。そのうえで、8月24日からの約1週間、現地調査を実施した。明治大学、お茶の水女子大学、東北大学、法政大学から歴史を専門とする学生を招集し、野外調査の経験が豊富なお茶の水女子大学鷹野光行教授の応援・アドバイスを現地でいただきながら、合計約250基の調査を完了することができた。地元での関心も高く、NHKや山形新聞をはじめとするメディアからの取材を受けた。調査終了後は、データの整理作業や文献調査をすすめ、参道や根本中堂周辺の石塔の特徴と比較検討をおこなった。その結果、奥の院地区には、各坊・堂舎に関係する石塔をはじめとして、夜行念仏関係の石灯籠など、参道等とは異なる傾向が認められることが判明した。これは、奥の院の機能を考えるうえで重要であり、さらに分析を続けていきたいと考えている。また、現地調査中に、休憩所としてご協力をいただいた華蔵院住職の榎森氏より、奥の院各所の石塔の由来、移動経緯や背景などについてうかがうことができた。これらは、奥の院のみならず、立石寺全体の石塔を考えるうえで重要な情報が多いため、次年度は特別に日程を設けて石塔や納骨にかかわる聞き取り調査を集中的に行いたいと考えている。なお、酷暑の環境下であったため、現地での調査は当初予定したより進行がおくれてしまった。残った奥の院地区集合エリアの石塔約100基については、次年度調査したいと考えている。
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