2012 Fiscal Year Annual Research Report
立石寺の庶民信仰の実態的解明と霊場としての景観復元
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22720293
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒木 志伸 山形大学, 基盤教育院, 准教授 (10326754)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 山寺立石寺 / 石塔 / 墓標 / 戒名 / 形式 / 慈恩寺 |
Research Abstract |
山寺立石寺の参道石塔の調査がほぼ終了し、整理作業及び分析を行った結果、総数、形式、年代、戒名にみえる傾向が判明した。その成果内容について「山寺立石寺」(『季刊考古学』121号、2012,11)に公表した。 また、山寺立石寺の石塔群の在り方をより際立たせるため、比較霊場の現地踏査を行った。特に、山形県内を中心にすすめたが、特に主要なフィールドととらえて重点的な調査を行ったのが寒河江市・慈恩寺である。寺内の5つの寺院・坊について、約200基の石塔の悉皆調査を行った。その特徴として、形式に関しては自然石(不定形)が圧倒的であること、記年銘によれば近世初頭から連綿と営まれており、山寺立石寺とほぼ同時期であること、戒名に関しては僧侶のものが多く格の高いものが多数確認でき、修験に関わるものも見受けられること等、比較検討材料として興味深い成果を得ることができた。特に「阿」号を有するものや寺侍に関連する墓標などは、慈恩寺の位置づけを検討する上でも注目すべき資料といえよう。今後、より一層の比較検討作業を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要テーマである山寺立石寺参道の石塔調査についてほぼ終了し、整理・分析作業を順調に進めている。また、その内容については学会誌等の印刷物等で公表できる段階に至った。また、比較霊場の現地踏査も開始し、重要な成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
山寺立石寺の参道石塔群の分析を推進するため、エクセルデータへの入力作業、図面の作成につとめていきたい。年度末までに報告書を作成し、山寺立石寺の関係各所と相談の上、インターネット上で公開していきたいと考えている。また、山寺立石寺石塔群の性格をより鮮明に描き出すため、慈恩寺をはじめとする比較対象霊場での調査も継続して行うこととしたい。 山寺は平成25年、50年に1度の御開帳の時期にあたる。学会等はもちろん、地元の一般市民に対して研究成果を公表する機会を積極的に持っていきたいと考えている。
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