2012 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト先王朝時代における硬質土器の生産地に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22720294
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
馬場 匡浩 早稲田大学, 総合研究機構, 助教 (00386583)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | エジプト / 先王朝時代 / 硬質土器 / マール・クレイ / 生産地問題 / 胎土分析 |
Research Abstract |
本研究は、考古学的発掘調査と理化学的胎土分析を軸に、先王朝時代の硬質土器の生産地および製作技術の解明に向けた基礎データを得ることを目的としている。本年度の研究概要は以下の通りである。 発掘調査は、当時の土器製作および熱利用の技術レベルを理解するため、これまで継続しているヒエラコンポリス遺跡HK11C地区にて実施した。ここはエジプト最古の土器焼成およびビール醸造の遺構がみつかった地区である。本年度は、昨年にそのすぐ東側で発見された日乾煉瓦壁体遺構の全容を明らかにすることを目的に進めた。結果、壁体は長軸7mの矩形を呈し、その内部は炉址が数多く点在していた。特筆されるのが大量の魚骨である。それは主に大型の骨と鱗で、予備分析によればナイルパーチとされる。炉址が多い点を考慮すると、ここは魚を燻製する施設であったと考えられる。当地区における近年の調査により、土器焼成、ビール醸造、魚燻製など、当地区が熱利用に特化した集約的な生産地区であったことが明らかとなった。これら遺構の年代はナカダIIB-C頃に比定されるが、この時期にパイロテクノロジーが大きく前進したようである。この頃、高温焼成を要する硬質土器が出現・増加するが、それは熱利用技術の全体的な向上に呼応したものとも考えられる。 胎土分析については、エジプトおよびレヴァントの遺跡出土土器と上エジプトの踏査で得た粘土サンプルから24点の試料を作製し、カイロにてICP分析を行った。化学組成の比較分析の結果、レヴァント系土器は組成が大きく異なり、硬質土器が在地生産であることが明確となった。その生産地に関しては、今回の粘土サンプルには組成が強く近似するものがなかったが、硬質土器の組成に時期が下るにつれてばらつきが比較的顕著になる傾向がみられ、それは生産地の広がりを示唆しているのかもしれない。今後も試料数を増やしてさらなる分析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)