2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本型多文化共生社会の構築と展望に関する実証的・理論的研究
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22720318
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 亮吾 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10509144)
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Keywords | 多文化共生 / 移民エスニック集団 / 地域コミュニティ / エスニシティ |
Research Abstract |
本申請研究の目的は、2000年以降の(1)日本の公的機関で実践される多文化共生政策の特徴とその変容、(2)移民エスニック集団の組織化と発展過程、(3)多文化共生社会の実現に果たすローカルな地域コミュニティの役割について包括的に調査した上で、それらの相互関係を理論的・実証的に明らかにすることを通じ、来るべき「日本型」多文化共生社会の在り方を展望することである。 本年度は、(1)名古屋市内に拠点をおくフィリピン系移民団体(B)に対する聞き取り調査を実施したとともに、(2)フィリピン系移民団体(A)が実践するエスニック・コミュニティの組織化運動の参与観察にも成功した。本年度は名古屋市中区や名古屋市郊外を事例対象地域とし、多文化共生の現場に関与する移民団体の調査を行うことができ、ローカルな都市地域社会のなかで多文化共生社会が構築されていく(またはそれを阻む)ロジックの一端を明らかにすることができた。また本年度は、2011年度中部都市学会研究会(於: 愛知県芸術文化センター、2011年7月30日)にて、これまでの研究成果の一部を発表した。 一方、調査の過程で愛知県多文化共生推進室との人脈を得ることができたので、次年度は(1)愛知県の多文化共生施策に関する聞き取り調査、ならびに(2)愛知県内の自治体に対するアンケート調査の打ち合わせと準備を行う予定である。また、比較によって研究の視野を広げるために、年度途中でオーストラリアの多文化主義政策と移民エスニック集団の組織化の関係性に着目した在外調査も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間のうちの最初の2年で、事例対象地域における多文化共生の現場に携わる人々(移民団体、日本人地域住民、地元行政)への聞き取り調査はおおむね完了した。一方で、研究代表者の人脈の関係上、県や国レベルでの多文化共生政策に関する調査が予定通りいかなかった。とはいえ、研究成果や調査のアウトプット(著書の出版、学会・研究会発表等)には尽力しており、全体を俯瞰すれば研究はおおむね順調に進展していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大幅な修正は予定していない。上記にあるように愛知県多文化共生推進室との人脈が確保されたので、後半の2年で愛知県の多文化共生施策の展開と課題を調査し、また愛知県内の各自治体へのアンケート調査を実施する。また、国レベルでの多文化共生政策の変遷について、資料整理を中心に調査を展開する予定である。最終年度では、ローカルな地域社会において多文化共生の現場た携わる人々への補完的な聞き取り調査も実施する予定である。
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Research Products
(5 results)