2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドイモイ期ベトナムにおける子どもをめぐる社会環境とその地域差に関する研究
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22720321
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
筒井 由起乃 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (10368186)
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Keywords | 人文地理学 / 地域研究 / 東南アジア |
Research Abstract |
本研究は、質的な「豊かさ」への志向が高まり、経済的・社会的な格差が地域レベルで拡大しているベトナムの動態について、子どもをめぐる社会環境からアプローチしようとするものである。その第二年度である本年度は、昨年度の予備調査で得た結果をもとに本格的なフィールドワークを実施した。 北部・中部・南部の3地域を比較実証研究するためのフィールドワークは8月に25日間、3月に6日間行った。主として、ベトナム北部(ハノイ市)・中部(フエ市およびトゥアティエンフエ省の2県)・南部(ホーチミン市およびメコンデルタのヴィンロン省)において、(1)管轄する行政担当部局、(2)幼稚園・保育園への聞き取り調査、(3)保護者に対するアンケート調査を実施した。(1)については、調査対象地における幼児教育の現状を調査するとともに、年次報告や統計年鑑などの資料を入手した。(2)については、各地2~4の幼稚園・保育園を抽出した。その際、公立・私立の別、規模など属性の異なるところを選び、それぞれの幼稚園・保育園の代表者に聞き取りを行うとともに、園の年次報告などの資料を入手した。(3)については、統一フォーマットを基本としつつも、三地域の現状や方言に合わせて、アンケート票を微調整したうえで、対面式で行った(各園100前後)。そのため、ベトナム人アシスタント数名に依頼し、作業にあたってもらった。このような大規模な保護者向けアンケート調査は子どもの環境を把握するうえで貴重であり、意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、北部・中部・南部の3地域においてそれぞれフィールドワークを実施し、資料収集のほか保護者に対するアンケート調査を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に行ったフィールワークで得た結果をまとめ、分析し、ベトナム側の海外共同研究者とともにその内容について議論する。学閥や、外国の学界への志向が強いために、国内における実際的な研究交流をほとんど経験していない若手のベトナム研究者に海外共同研究者として研究に協力してもらうことで、より実証的かつ学術的な研究をめざすとともに、ベトナム人研究者間の横の連携を強め、今後の研究活動の発展につなげたい。
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