2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト社会主義状況下のモンゴル国の牧畜社会の動態に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
22720324
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
辛嶋 博善 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (60516805)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | モンゴル国 / 牧畜社会 / ポスト社会主義 / 制度変化 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本年度の調査は、これまでの研究の確認と補足を目的として、モンゴル国ヘンティー県ムルン郡の牧畜民とその親族を対象に、2012年8~9月に観察と聞き取りを行った。 2000年代前半以降悪化していた草地及び水資源の状況に改善の兆しが見られた。そのため夏営地における乾燥した年におきやすい家畜の膿の被害は減少し、夏営地の選択にその被害を極力避けようとする意図は見られなかった。この点で前年以前とは異なる状況を確認した。草地と水資源の改善の影響は別の形でも表れている。調査世帯の人々は草刈り機を入手し、冬季の家畜飼料となる干草の入手をより効率的、経済的に進めようとしていることが明らかとなった。この草刈り機は故障しており、修理を必要とするものであって調査時点で導入には至っていなかったが、より大規模な草刈りが可能な状況になったことを示唆している。さらに、今後の変動の兆候として、調査世帯が冬営地を新たな場所に設営しようと計画していることを確認した。これにより冬営地の保有関係がより一層複雑化しつつあることが示された。 市場での取引について新たな現象を確認した。家畜を宿営地の牧夫に託して定住地に移住した人々の買い物の行動に関して、9月から始まる学校の新学期に際して子供たちに新しい服を用意しなければならず、それが大きな出費となっていることを聞き取った。 調査地の住民と親族関係にある都市居住者の信仰の実態を観察した。仏教やシャーマン、その他の宗教施設への出入りがあり、また、それらが必ずしも相互に排他的に信仰されるわけでなく共存しており、むしろ目的達成のためにそのどれもが積極的に取り入れられていることが明らかになった。なお、これまでの調査ではこの点に関して牧畜社会との関係は見られず、この事例は特に都市居住者のみに見られるものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)