2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代アフリカにおける民主国家と伝統的権威者の関係:ナイジェリアの事例研究
Project/Area Number |
22720325
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 尚之 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80361054)
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Keywords | 文化人類学 / アフリカ / ナイジェリア / 王権 / 民主国家 |
Research Abstract |
本研究は、ナイジェリアのイボ社会を事例とし、諸民族の伝統的権威者が国家行政のなかで持つ役割や影響力について調査・研究を行うことが目的である。初年度にあたる平成22年度は、平成22年5月及び平成23年2月にナイジェリアに渡航、事前調査を行った。事前調査はイモ州ンビセ地方を拠点とした。同地方の自治組織の役員や行政機関のスタッフなどに、今後行う調査の内容について説明を行った。ナイジェリアでは平成23年4月に総選挙を予定していたため、行政機関については対象を地方政府に限定した。 また、ケーススタティの対象として選んだ村落群においては、現在、行政村の分割及び新たな伝統的権威者の選出が進められていた。そのため、これまでの経緯について、自治組織の役員に聞き取り調査を行うとともに、自治組織の議事録など重要な資料を収集した。さらに、イモ州の州都オウェリに赴き、行政村や伝統的権威者と関わる過去の条例について、州政府の印刷局において文献収集を行った。 以上の調査を通して、行政村の承認などが州レベルでの政治的駆け引きに利用されている現状が明らかとなった。新しい伝統的権威者の創造と、その選出単位となる行政村の分割は、今日のイボ社会において人々の高い関心を集めている。イモ州では、行政村の新設/分割を承認する主体をめぐって、過去に州知事と州議会のあいだで競合が見られた。 次年度以降の調査では、引き続きケーススタディの対象である村落群における行政村分割/伝統的権威者の新設の動きを追うとともに、選挙後の州政府/連邦政府と伝統的権威者の関係について分析を行う予定である。
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