2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代アフリカにおける民主国家と伝統的権威者の関係:ナイジェリアの事例研究
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22720325
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 尚之 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80361054)
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Keywords | 文化人類学 / アフリカ:ナイジェリア / 民主国家 / 王権 |
Research Abstract |
本研究は、ナイジェリアのイボ社会を事例とし、諸民族の伝統的権威者が国家行政のなかで持つ役割や影響力について調査・研究を行うことが目的である。2年目にあたる平成23年度は、平成22年8月から9月にかけて、さらに12月から平成23年1月にかけての、計2回のフィールドワークを行った。当初計画において設定した2つの主目標それぞれの成果は以下の通りである。 (1)行政村の分割及び伝統的権威者の新設の過程に関するケーススタディ 行政村の分割については、今回新たに調査対象村を設定し、フィールドワークを行った。ナイジェリア東部の歴史を扱った文献にも登場する著名な委任首長がいた村であり、植民地時代から現在に至るまでの行政村の分裂過程について、聞き取り調査を行った。また、伝統的権威者の新設については、現在、伝統的権威者の選出過程にある村で、昨年度から継続して調査を行った。 (2)伝統的権威者の助言機関に関する調査 調査対象として設定したエジニヒテ=ンビセ地方政府で、助言機関の代表を務める人物に聞き取り調査を行った。さらに、伝統的権威者たちが主催する地域の祭りの参与観察を行い、地方政府や助言機関の役割を確認した。 以上の調査を通じて、伝統的権威者と行政機関の関係の一端を理解することができた。法的には、行政村の「文化的代表」に過ぎないエゼたちが、助言機関などを媒介として、時に人民の代表として政治的な影響力を持っている現状が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度のフィールド調査は、申請時の予定では1回であったのに対し、8月と12月の2度の調査を行うことができた。その結果、本年度の主な目的とした2つの目標について当初の計画以上にデータ収集を行うことができた。特にケーススタディの調査が順調に進み、その成果については5月の学会で報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った調査に引き続き、フィールドワークを行う。本年度得た知見を生かし、2つの目標について調査内容を深めていく。また比較分析のために、新たに(3)ラゴス州における調査の開始を目標に設置し、フィールドワークの範囲の拡大を図る。
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Research Products
(2 results)