2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯雨林地域における慣習的ゾウ狩猟に関する人類学的研究
Project/Area Number |
22720326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 耕次 京都大学, 人文学部, PD (70469625)
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Keywords | 国際情報交流 / 生態人類学 / 文化人類学 / アフリカ熱帯雨林 / アフリカマルミミゾウ / カメルーン:フランス / バカ・ピグミー / 野生動物 |
Research Abstract |
アフリカ熱帯雨林地域に生きるピグミー系狩猟採集民にとって、ゾウ(マルミミゾウ)の狩猟は食糧獲得という意味合いのほかに、文化的・社会的な重要性を含む。急速な近代化に伴う森林伐採に代表される環境問題や市場経済の影響を受けて、地域住民にとっては従来行ってきた狩猟活動そのものの存続が困難な状況にある。本研究では、カメルーン南東部のバカ・ピグミーを対象として、ゾウ狩猟の熟練者である「トゥーマ」とよばれる人々に注目し、慣習的に行われてきたゾウ狩猟を通じて示唆される、地域に根ざした自然環境や社会環境、あるいは経済的な観念について追究するものである。初年度は夏期の現地調査において、カメルーン南東部のドンゴ村を中心としたバカ・ピグミーの集落を訪ね、ゾウ狩猟者「トゥーマ」へのインタビューやゾウ狩猟をめぐる現状の把握に努めた。併せて住民らを対象としたセミナーを開催し、本研究課題に関連した問題を提起し、活発な議論を行った。また、主に地方都市のヨカドマを拠点としたカメルーン東部州内の広域調査を実施し、地域ごとの特徴や民族知識の普遍性を知る足がかりとなった。 研究成果の公表については、研究者のほかに一般の読者も含まれると思われる雑誌に、本研究課題に関連する論文が掲載された。また、9月にフランス南部の都市モンペリエにおいて、アフリカ熱帯地域研究に関する国際シンポジウムが開催され、本研究に関連する発表を行うとともに、国内外の研究者から有益な情報を得ることができた。最終年度となる2012月5月には、同地において国際民族生物学会が予定されていることもあり、そこでの発表を目指して、論文の投稿を含めた本研究の成果をまとめていきたい。また、一般の人々を対象とした、研究成果の公表(紹介)も平行したい。本年2月に東京上野動物園で動物園関係者や一般来場者などを対象とした講演を行ったが、聴衆からの反応は大変刺激的であった。
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