2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化とフランス農民のモラル・エコノミーに関する人類学的研究
Project/Area Number |
22720328
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 理 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (30402986)
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Keywords | 文化人類学 |
Research Abstract |
本研究は、グローバル化の危機に直面したフランスの農民が、どのように状況を理解し、どのような価値や道徳的基準にもとづいて生活世界を再編しようとしているかを、フィールドワークにもとづいて明らかにしようとするものである。研究計画の初年度にあたる本年度は、第一次調査を実施するとともに、その調査データをはじめとする資料をもとに分析を行い、その成果を研究発表および研究論文のかたちで発表した。 (1)フィールドワーク:2010年7月12日から9月3日にかけて、フランス・プロヴァンス地方を調査地として第一次のフィールドワークを実施した。本調査では、歴史的変化(青果市場、農業実践、社会生活の変化)についてのインタビューと資料収集による調査、および現在の農業関係者間の関係(とくに、農民同士、農民と農業労働者、農民と仲買業者の関係)についてのインタビューと参与観察による調査を実施した。それによって、三年間の研究の基礎となる基本的データを得ることができた。 (2)研究発表および研究論文:第一次調査のデータの分析を通して、本研究のテーマであるモラル・エコノミーについての予備的考察を行い、その成果の発表を行った。オランダ・グローニンゲンでの発表および国立民族学博物館での発表においては、国際的な参加者との討議を通して、今後の検討事項についての認識を深めた(研究発表欄参照)。また、先行研究の検討によって、これまでフランス農民が社会変化をどのように認識し対応してきたかについて考察し、その成果を大阪大学でのワークショップにおいて発表した。同ワークショップの成果はブックレットとして刊行されることが決定している。
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