2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国の「住民自治」の人類学――ムスリム・コミュニティの共同性と自律性をめぐって
Project/Area Number |
22720331
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
澤井 充生 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (20404957)
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Keywords | 文化人類学 / 中国地域研究 / イスラーム研究 |
Research Abstract |
本研究課題では、中華人民共和国における少数民族の「住民自治」の現在的状況を文献資料調査およびムスリム・コミュニティにおける人類学的なフィールドワークによって個別実証的に検討した。研究代表者は2007年度から2009年度にかけての科学研究費補助金(若手研究B)「ムスリム・コミュニティの再構築と組織原理-現代中国の地方政治の民族誌的研究」において中国のムスリム・コミュニティの再編過程およびそこで活用される組織原理の諸特徴を具体的に把握・分析した。本研究課題では「住民自治」という新たな研究視点を導入し、現代中国における党国家と少数民族の関係性を理論的に考察することを目的としている。初年度にあたる2010年度は、日本および中国の主要な教育・研究機関において現代中国における「住民自治」および民族・宗教政策にかかわる基礎的な文献資料の収集をおこなった。 そのような文献資料調査と並行して、外国出張先の北京市では、中国の伝統宗教の施設(儒教の孔子廟、チベット仏教寺院、キリスト教の協会、イスラームのモスクなど)を訪問し、中国共産党主導の宗教政策の概況を把握した。特に、北京市では牛街とよばれるムスリム・コミュニティや中国イスラーム教協会を訪問し、清真寺(モスク)に通う回族の古老たちに対してインテンシブなインタビュー調査を実施することができた。 今後取り組むべき課題としては、本研究課題にかかわる基礎資料の収集・分析を継続する一方、次年度以降、主要な調査地(例えば、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区など)において清真寺(モスク)にかかわる回族の人々の世帯構成・地域活動への参加状況・国家政策の地域的特性などを個別具体的に調査・研究する必要がある。(720字)
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