2012 Fiscal Year Annual Research Report
「交通死」被害者遺族の法的救済に関する法社会学的研究
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22730006
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20432841)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 法社会学 / 交通事犯 / 危険運転致死傷罪 / 裁判員制度 / 被害者参加制度 / 被害者遺族 / 法的救済 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の最終年として研究成果のとりまとめを行いつつ、前年度に引き続き、主として刑事裁判手続における「交通死」被害者遺族の法的救済のあり方とその可能性について、検討を行った。 具体的には、1)計4件(埼玉、北海道、福岡、広島)の危険運転致死傷事件の裁判員裁判において、被害者参加制度の利用を経験した「交通死」被害者遺族並びに被害者参加弁護士を対象に、制度利用経験の評価を尋ねる聴き取り調査を行った(2012年10月~2013年1月)。また、2)今年度、危険運転致死傷事件を審理した裁判員裁判2件(宮崎地裁、神戸地裁)を傍聴、被害者参加制度を利用した「交通死」被害者遺族並びに被害者参加弁護士を対象に、1)と同様、制度利用経験の評価を尋ねる聴き取り調査を行った。 これらの調査から、以下の通り、極めて有益な示唆・知見が得られた。①被害者参加制度の利用について、利用当事者である「交通死」被害者遺族たちは概ね肯定的な評価を与えており、制度の利用が自らの被害回復・救済に一定の寄与をなすものと位置づけていたことを明らかにできた。②一方で、審理の日程が極めてタイトであり、時間的な余裕に乏しい中で手続に関与することの困難さや、被害者参加人弁護士の支援を受けることの困難さ、裁判員裁判の下での詳細な判決理由開示の必要性等、被害者参加制度の運用面に関する利用当事者の視点からの具体的な課題や問題点を明らかにできた。③被害者参加制度についてのより先鋭的な問題として、被告人の包括的黙秘権の行使により被害者参加人の発問そのものが行えない問題や、被害者参加を望む当事者に対して裁判所や検察庁が自白事件であることを理由に制度参加の必要性を否定する説明を行った結果、当初の意に反して制度利用を断念したケースの存在等が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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