2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける近代日本法の展開とその現行台湾法への影響に関する研究
Project/Area Number |
22730007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西 英昭 九州大学, 法学研究院, 准教授 (50323621)
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Keywords | 法制史 / 台湾法 / 比較法 / 東洋法制史 |
Research Abstract |
近代中国法制関連の基礎情報の整理としてマイクロフィルム史料を中心に購入、主要雑誌をほぼ全て蒐集し、また戦前期中国法関連の日本語論文につきそのデータベース化に着手した。これら基盤史料が国内所蔵として整備され、また検索困難な戦前の文献についてのデータベースが作成されることにより、日本国内に居ながらにして基本情報を検索・入手することが可能となり、全体の研究環境は飛躍的に向上することが期待される。人物研究としては清末・民国期中国で法律顧問を務めた岡田朝太郎につきその生涯及び著作について旧稿を大幅に増補改訂し論考として発表した。これについては台湾学界より中国語訳のオファーが来ており、アジアにおける学術交流の一端を担うことが期待できる。また旧来看過されてきた当時の実務家による学術的交流の様相を明らかにするため、中国に在留した日本人弁護士の人物研究にも着手した。台湾現行法については、戦後日本で発表された研究論文の目録データベースを発表し、先行研究の検索を容易にするとともに、まず民法につきその概要を紹介する論考を発表し、その研究の重要性について学界に発信した。他の法分野についてもその基本的な構造を紹介する文章を執筆中である。これに関連する台湾法の代表的な書籍類については継続してこれを蒐集、国内所蔵の充実を図るとともに、現地関係教員とも出張時に密な意見交換を行った。その中で日本法の台湾法に対する影響関係についての講演依頼もあり、次年度は積極的にこれらにも応じることとしたい。研究成果については予想よりも早く還元することが出来た。次年度も継続して発信に力を入れていきたい。
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