2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会における「支援型法」の可能性と限界ー自己決定を実現させる法的枠組みの構築
Project/Area Number |
22730009
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
菅 富美枝 法政大学, 経済学部, 准教授 (50386380)
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Keywords | 成年後見制度(法) / 自律 / 消費者法 / 支援 / 行為能力制限制度 / イギリス法 / 権利擁護 / 意思決定支援 |
Research Abstract |
初年度にあたる平成22年度は、判断能力の不十分な人々を社会的に排除することなくむしろ社会的包摂を図るため、「主体性回復型」権利擁護制度の構築という観点から、わが国の現行成年後見制度を分析した。 第一に、比較法的考察によって理解を深めるため、英国、ハンガリー、チェコ共和国、台湾を訪問し、各国における行為能力制限制度の有無、選挙権制限制度の有無、そして、医療同意に関する法的枠組みについて調査を行った。さらには、成年後見制度を従来当然視されてきた他者による「代行決定」姿勢から、国連障害者権利条約に顕著に示されているところの「意思決定支援」姿勢へとパラダイム転換することの実現可能性について、主に精神障害者の能力制限撤廃を求めてブタペストを拠点に活動するNGO団体から、条約批准国における法整備状況について情報を継続的に入手した。 第二に、わが国の法制度自体の理解に関して、制度概要の考察に留まることなく、運用実態、特に、地方の基礎自治体における独自の運用状況や現行制度を補うための自発的活動に目を向けることによって、今後の法改正や制度改正の萌芽を発見するという目的から、地域で自発的に個性的な成年後見活動を繰り広げる「知多成年後見センター」を訪問調査し、地域ネットワークが果たす役割についての知見を得た。 以上の研究成果については定期的な公表を目指し、実際、4本の図書、6本の雑誌論文、さらに、2回の学会発表という形で実現させた。また、社会活動として、大阪弁護士会、社会法人東京社会福祉士会などにおいて講演、研修を行った。さらに、学際的な研究を実現すべく、「成年後見制度の新たなグランド・デザイン創出」研究会を立ち上げ、平成22年度は計6回の研究会を開催した。
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Research Products
(13 results)