2010 Fiscal Year Annual Research Report
最適で開かれた公的規制の法構造―放送法制を素材として
Project/Area Number |
22730018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲葉 一将 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (50334991)
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Keywords | 公的規制 / 最適性 / 公開性 / 放送法制 / BPO / 独立規制委員会 / 行政指導 |
Research Abstract |
本年度は、日本の放送法制を素材として、多様な主体による「規制」の構造(ここで構造の語は、現象の原因という意味で用いられている)分析を行った。研究計画に記載した通り、当時ドイツハイデルベルク大学に在外研究中の成城大学の西土彰一郎准教授と韓国全南大学の咸仁善教授には、本研究の内容に関してそれぞれドイツおよび韓国の制度運用についての教示を得た。 研究代表者は、かねて放送法制を放送法としてではなく行政領域(法)研究の対象としてきており、本年度の研究も、その延長上に位置づけられるものである。本年度の研究成果は、これを一言で述べれば、憲法的価値(国家介入からの表現の自由の保障)が放送行政の権力的な行為形式の否定と同時に非権力的な行為形式を生むこととなり、さらに権力的な行政活動の不在が放送業界における自主規制となって形を変えつつ回帰している、という構造を明らかにしたものであった。具体的には、BPOが行っている自主規制は、この内容に着目すると放送法に根拠を有しないような、その意味では以前よりも強化された規制であると解することも可能であって、その形式だけをとらえて「最適」であるなどと理解すべきではないが、かといってこの回帰の現象に対する公法的コントロールを論ずれば足りる、というものでもない。現象のみならずその原因がどこまで解明されているのかが問われるべきであり、そうであるとすればコントロール可能という意味での「公開性」の向上が求められる対象の把握も課題であるように思われる。「研究発表」欄に記載した「規制機関の在り方」と題する拙稿は、幸運にして本年度の研究成果の一部を公開する機会を与えられたものであった。これは、字数が制約されたものであるが、上記の内容が簡潔にまとめられたものである。
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