2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730021
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
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Keywords | 公法学 / アメリカ憲法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、合衆国憲法秩序変動期における秩序理念を明らかにし、その上で、その秩序理念と現代憲法理論との架橋を試みることである。 まず、本年度において公表した論文「トマス・ジェファソンと自己統治の観念-ポピュリズム憲法理論の一断面」では、合衆国憲法制定期という一つの秩序が形成される契機における大統領トマス・ジェファソンの憲法観を描き出し、その思想と現代憲法理論の一つの潮流であるポピュリズム憲法理論に通底するものがあることを明らかにした。 次に、それに続く憲法秩序変動期とされている南北戦争期に焦点を当て、その時代の法と政治のありようについて検討を行った(継続中)。 具体的には、(1)南北戦争期における歴史的事象、政治・法思想を整理するための史料研究、及び、(2)それらの事象の、現代における評価を概観するための、ロー・レビューの解析を中心に行った。その際、憲法学に限定せず、歴史学者らの所説も射程に入れたが、歴史学や政治思想の分野におけるこの時期の先行研究の量に比べ、法学の分野における先行研究が不足していることを再確認した。 法学の視点から切り込むにあたって、自身が憲法制定期の憲法理念を解析する際にキーワードとして注目してきた、法と政治、司法審査、民主主義、自己統治、主権、理性と意思といった概念に焦点をあて、それらの概念の内容と関係性をめぐり、過去から継続するものと、変容するものを析出する作業を行った。
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Research Products
(2 results)