2011 Fiscal Year Annual Research Report
機関訴訟の可否を基礎付ける権利論についての理論的研究
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22730025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門脇 雄貴 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (50438115)
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Keywords | 機関訴訟 / 地方公共団体組織訴訟 / 構成員権 |
Research Abstract |
平成23年度においては、ドイツにおける機関訴訟を根拠づける権利に関して、学説上いかなる議論が展開されているのかを分析した。すなわち、本年度の検討の中心を占めたいわゆる地方公共団体組織訴訟(Kommunalverfassungsstreit)であっても、それは行政裁判所法(Verwaltungsgerichtsordnung)に基づいて提起されるところ、同法の訴訟形態においてはいずれにせよ権利が必要とされる。しかし、他方で地方公共団体組織訴訟で原告となるのは地方公共団体の機関であり、機関は公益のために活動すべきものとされている以上、自らの固有の利益を主張することは許されない。その結果、訴訟において必要とされる権利の根拠に置かれるべき固有の利益が見出されないのではないか、ということが問題になるのである。 学説はこの問題に対していまだ見解の一致を見ていない。すなわち、(1)もはや権利侵害の要件を必要としない立場、(2)権利の根拠を利益に見出さない立場、(3)権利の根拠たる利益を公益と同視するなどして権利の内実を変容させようとする立場などに分かれている。以上のような本年度の研究成果を踏まえて、それでは理論的に説明困難な機関訴訟が、判例上、いかなる経緯を辿って承認されるに至っているのかを明らかにすることが次年度以降の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
目下、当初の計画通りに進展しているため、次年度以降も現在の方向性を維持したまま研究を推進していくことを予定している。
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