2012 Fiscal Year Annual Research Report
機関訴訟の可否を基礎付ける権利論についての理論的研究
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22730025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門脇 雄貴 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (50438115)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 機関訴訟 |
Research Abstract |
平成24年度においては、平成23年度に引き続き、ドイツにおいて機関訴訟を根拠づける権利に関し、学説上いかなる議論が展開されているのかを分析した。平成23年度の検討の中心はいわゆる地方公共団体組織訴訟(Kommunalverfassungsstreit)であったが、ドイツの判例上適法な機関訴訟として認められているもう一つの類型は、いわゆる独立行政委員会のように指揮監督権に服さない行政機関の決定を、ヒエラルキー構造の中の行政機関が争う場合である(以下「独立委員会型機関訴訟」という)。これもまた、地方公共団体組織訴訟と同様、行政裁判所法(Verwaltungsgerichtsordnung)に基づいて提起されるものであるため、地方公共団体組織訴訟の場合のように、訴訟において必要とされる権利の根拠に置かれるべき固有の利益があるのか否かという点が問題にされることとなる。 昨年度の研究成果として、学説が地方公共団体組織訴訟における権利の位置づけに関していまだ見解の一致を見ていないことを示したが、最近の学説においては地方公共団体組織訴訟と独立委員会型機関訴訟とを区別せずにこの問題を論じている。しかしながら、理論的に説明困難なこれらの機関訴訟は、戦前における判例ないしは制度にその淵源を有するものと推測され、しかもそれは上記2つの類型の機関訴訟それぞれについて異なった出自のものであることが想定される。次年度の研究は、それぞれの類型の機関訴訟に即した、戦前の判例および制度の分析に充てられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
戦前の判例及び制度の研究をおこなう。
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