2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730026
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
酒井 貴子 大阪府立大学, 経済学部, 准教授 (40359782)
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Keywords | グループ税制 / 法人所得課税 / 連結納税 / 租税属性 |
Research Abstract |
本研究の対象たるグループ税制は、平成21年申請当時、財務省内部の研究会等で話が出ていたが、すぐに実際の法制度として施行されるとは考えられていなかったため、本研究においても実施されるとしたら同制度がどうあるべきかを検討するものとしていた。しかし、平成22年度改正の内容が申請後に明らかになるにつれ、急仕立てのグループ税制が平成22年10月から実施されることとなった次第である。そのため、本研究前半では、にわかに実施されたグループ税制がどのようなものかの把握に努めるとともに、立法作業に携わった論者が出す文献リサーチが中心的な内容となった.また、同時に同制度実施に伴う連結申告制度の改正もフォローできた。研究目的の(2)研究期間内に究明する論点のうち、特に、(iii)に掲げた関連会社間の株式売却時の取扱いについて、アメリカ法での近年の改正を追うことができた。これは、連結申告を行う法人グループの中での取扱いがメインとなったが、関連会社株の売却損失制限の基調を確認するために必要であった。すなわち、判例等の無効と判断された財務省規則と、実質的に同様な内容を持つ損失控除の規制が行われ、連結申告を採用しない関連法人でも同様な規制の下に置くとされている。こうしたことから、法人内部の損失と、株式売却損という形で生じる法人外部に出てくる損失の二重性を問題としこれを規制しようという傾向が確認できた。(v)に掲げた少数株主の扱いについては、アメリカ税法研究者等との議論の結果、私の今までの研究成果以外に指摘するべき点が乏しいことを確認した。上記の結果は、年度末に博士論文(『法人課税における租税属性の研究』)を出版した際、第1編第1章補論と第2編第4章補論に付け加えると共に、グループ税制の導入に伴う細かな修正を出版した論文に反映する形で公表できたと考える。
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