2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730026
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
酒井 貴子 大阪府立大学, 経済学部, 准教授 (40359782)
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Keywords | グループ税制 / 持株要件 / 連結納税 / 経済的実質 |
Research Abstract |
本研究は、わが国での法人グループ税制施行に際し、その中に位置づけられた連結納税制度とそうでない制度について比較法的に研究することを目的として、制度施行上生ずる様々な法的問題を段階的に検討するという進め方によって行われた。法人グループ税制についての全体的リサーチの後、計画当初より設定していた一つの段階として、法人グループの枠組みを決定するという持株要件をめぐる課税問題に取り組んだ。持株要件についてアメリカ法の研究を進めるうち、この問題の研究が非常に重要なものであることが分かると同時に、アメリカにおいてこの要件をめぐる問題が近年取り上げられ、文献収集・購読後まとめ、学会での報告準備に多くの時間を割いた。近年行われた「みせかけ連結(Synthetic Consolidation)」といわれる租税回避目的での連結では、連結申告に当たり要求された持株要件を形式的には満たしているものの、経済的実質において親会社に所有があるとはいえない状況にあったが、連結が認められたことで約4億ドルもの租税負担軽減につながった。これを問題視した論稿が出てきて、IRSは2012年7月に持株要件の判定において、「課税上の所有(Tax Ownership)」の発想を取り入れる見解を公表した。しかし、持株要件の判定に「課税上の所有」の考え方を取り入れることで、連結要件の複雑化をもたらすことが指摘される。この点、イギリスのグループ税制では、租税回避防止の観点から、経済的実質を鑑みたテストを持株要件に取り込んでいた。わが国では、法人グループ税制導入時から、持株要件引下げの必要性がいわれるが、法人グループ範囲決定にあっては、発行済株式「数」だけでなく、「議決権」「株式価値」、ひいては、「課税上の保有」という視点からの経済的実質に着目した判定要素をどこまで取り込んでいくべきなのか検討されるべきことを指摘出来た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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