2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730027
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
植木 淳 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (50364146)
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Keywords | 公法学 / 社会福祉関係 |
Research Abstract |
著書『障害のある人の権利と法』を執筆して研究成果を公表した。同書では、(1)アメリカにおける修正14条「平等保護条項」と障害のある人の権利に関する判例展開(第1章)、(2)「障害のあるアメリカ人に関する法律」(ADA)の憲法学的意義(第2章)、(3)ADA判例の展開(第3~6章)に関して、紹介・検討を行った。この点、従来は、(1)アメリカ合衆国憲法とADAとの関連に関する研究は殆ど存在しなかったこと、(2)ADA判例に関しても第1編「雇用」に関する領域以外はほとんど紹介されていなかったこと、などに鑑みれは、ADAをモデルとする「障害者権利条約」の批准にあたって、上記のような検討は重要な意義を有するものと考える。次に、同書では、(4)日本国憲法と障害のある人の権利(第7章)、(5)障害のある人の移動の権利(第8章)、(6)障害のある人の教育を受ける権利(第9章)に関する検討を行った。この点、従来の日本の憲法学説においては、障害のある人の権利保障に関する体系的な研究は少なかったことから、上記テーマに関する総論的研究をすることには一定の意義があると考えられる。また、特に、法律学の領域の全体にわたって「移動の権利」に関する研究が殆ど存在しなかったことからすれば、そのような領域における判例研究にも一定の意義があると考えられる。さらに、「教育を受ける権利」に関して、近年の重要な下級審決定を紹介・検討することができた。
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