2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境保護のための市民参加制度に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
22730034
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
林 晃大 近畿大学, 法学部, 講師 (80548800)
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Keywords | 公法学 |
Research Abstract |
現在、国際的な環境保護運動が活発化している中、環境を保護するための一手段として「市民参加」が重要であると考えられている。わが国においても、環境権に関する議論と共に主張されてきたことであり、さらにヨーロッパを中心とした多くの国々が、環境保護のための市民参加の促進を目的とした「オーフス条約」を締結し、それを受けて国内での市民参加制度を整えることによって環境保護の促進を行おうとしている。私は平成22年度に引き続き、今年度もオーフス条約の提唱する「市民参加」のための3本柱について、イギリスにおける制度を基に研究を行った。 3本柱の一つである「公的機関の有する環境情報への市民によるアクセス」についての研究は平成22年度に発表した論文「イギリスにおける環境情報開示と2004年環境情報規則」(近畿大学法学58巻2・3号481頁~583頁)において概ね終了し、本年度は第2の柱である「環境意思決定への市民参加制度」について研究を進めた。行政による環境に関する意思決定過程に市民を参加させることによって意見を反映させることは、環境保護の観点からも、民主性の観点からも大きな意味があると考えられている。イギリスでは古くから、都市計画の分野において市民参加制度が積極的に導入されていたが、オーフス条約の批准後様々な環境領域における市民参加が法定化され、民主主義的な環境意思決定が行われるようになっている。しかしながら、近年、政府によって「ベター・レギュレーション・アジェンダ」が打ち出されることによって、特に環境許可決定過程における市民参加制度が大きな変革期を迎えている。 わが国においては、イギリスにおける都市計画分野以外の環境市民参加に関する先行研究は十分ではなく、これらの研究が、これからわが国でも活発化するであろう積極的な「環境保護のための市民参加制度」導入のための1つの参考となるであろうと考える。
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