2011 Fiscal Year Annual Research Report
最近の投資協定仲裁における国内救済前置の動向とその理論的意味の研究
Project/Area Number |
22730035
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
坂田 雅夫 同志社大学, 法学部, 助教 (30543516)
|
Keywords | 投資協定 / 自由貿易協定(FTA) / 仲裁 / 国際投資法 |
Research Abstract |
本研究は投資協定仲裁の実務において、投資受入国の国内裁判所での訴訟を国際的な仲裁付託の前提とする様々な動きがあることに着目し、仲裁や学説などの分析をし、その上でかかる国内救済前置の動向が持つ理論的意味を探求することを目的としていた。 平成23年度の具体的研究は次の通りである。まずは第1に、仲裁判例の分析を行った。仲裁判例及びそれに関する研究が平成23年度もかなりの数が出されており、それらにも検討を加えた。第2に、投資協定の仲裁手続きが対象とする紛争の範囲認定基準をより明確化するために、仲裁判例が唱える国家の「公権力性」論について検討を加えた。とくにこの主張は伝統的国際法における裁判拒否概念との理論的関係が問題となることに気づき、関連する学説・判例の理論史的研究にも着手した。 それらの研究を踏まえて、次の学会・研究会報告を行った。北海道大学の国際法研究会において、「国際判例検討会、国際司法裁判所Diallo事件判決」(国際法研究会、北海道大学)(平成23年7月30日)と題する報告を行った。この報告では国際司法裁判所の判例を素材として、投資協定仲裁における株主保護の現状について着目し、投資協定が保護対象とする「投資」と、その「投資」の具体的内容が国内裁判所で事前に認定されることを求める近年の動向について紹介した。 国際法学会の東西合同研究会において、「投資協定仲裁における国内救済前置の動向」(国際法学会・東西合同研究会、関西学院大学)(平成23年10月8日)と題した報告を行った。この補助金による研究成果を報告したものである。その後、二つの研究会での討議を踏まえて論文として公表する準備を整えている。
|