2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730039
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40554861)
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Keywords | 国際人権法 / 地域人権条約 / 社会権 / アフリカ人権裁判所 |
Research Abstract |
平成22年度は、アフリカ及び米州の地域人権条約の実行をできるかぎり幅広く蒐集した上で、規範内容の分析を行うことを目標とした。そのため、国内外の資料を広く集めるために、日本国内では東京大学及び一橋大学にて資料の収集を行うと共に、研究者との意見交換を行い、特に国際組織や経済などの観点からの助言を受けた。具体的には、国際組織法の観点からの助言を受けるために、合同で研究会を開催した(平成22年9月11日、於・新潟大学)。 また、日本では入手が難しい雑誌論文などを収集する目的で、オランダ・ハーグ平和宮図書館にて文献調査を行った(平成22年8月24日~9月1日)。併せて、イギリスで開催された国際学会にも出席し、海外の研究者との意見交換を行った(平成22年9月2日~6日)。 その結果、アフリカにおいては新たに設立されたアフリカ人権裁判所による最初の判決を嚆矢としてアフリカにおける人権保障のための実施措置について論じることが比較検討の導入部分として可能となることが明らかとなった。よって当該事例を手がかりとして、地域人権保障体制の実施措置の比較検討及び他の国際的人権保障体制との関係について論文を執筆し、公表した。また、規範内容に関してもアフリカに於いて問題なっている事項から以下のような分析視角が得られることが明らかとなった。すなわち、(1)環境破壊、(2)私企業による人権侵害である。また、ヨーロッパの事例からはテロリズムにおける人権侵害の可能性にどのように対処するかという議論が多く見られることから、これらを手がかりにそれぞれの地域における実行の特殊性と異同について、次年度以降引き続き資料の分析を進め、随時結果を公表していく予定である。
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