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2011 Fiscal Year Annual Research Report

国際法上の国家免除における慣習国際法と国連国家免除条約との関係

Research Project

Project/Area Number 22730042
Research InstitutionUniversity of Shizuoka

Principal Investigator

坂巻 静佳  静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (10571028)

Keywords国際法学 / 国家免除 / 裁判権免除 / 国連国家免除条約 / 国連国家免除法
Research Abstract

本研究の目的は、「国および国の財産の裁判権免除に関する国際連合条約」(以下、国連国家免除条約)と慣習国際法との関係を明らかにすることにある。本年度は、昨年度の研究成果を論文にまとめ公表するとともに、国家実行および学説の収集を進めつつ、主として商行為事例について3つの側面から検討した。
第1に、商行為事案について規定する国連国家免除条約2条1項(c)ならびに同条2項および10条に関し、免除が否定される根拠およびその射程等を明らかにするべく、起草過程やコメンタリー等を検討した。
第2に、国連国家免除条約2条1項(c)ならびに同条2項および10条に対応する、「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」8条について、起草過程等を調査した。
第3に、商行為事案に関する国家実行上の国家免除の判断基準、免除の射程等を解き明かすために、国内判例、その他の国内法および条約等を調査し、検討した。
以上の検討の結果、(1)制限免除主義のもとでは、主権的行為は免除されるが業務管理的行為は免除されないとの理解に合意はあったが、両行為を区分する基準については争いがあったことを受けて、国連国家免除条約2条2項は両行為を区分する際に考慮する要素として性質と目的を併記したが、(2)20世紀後半以降、性質または目的のどちらか一方を基準として免除の可否を判断することは不可能として、事案の文脈全体などを勘案する国家実行等が登場していること、(3)性質または目的のどちらか一方を基準として掲げた実行においても、それのみを基準として結論を導いているとは言い難いものもあるほか、その際に性質や目的を判断する対象は必ずしも一定ではないことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定どおり、不動産事案について、慣習国際法と、国連国家免除条約および国家免除法との間には乖離があるとの研究結果を公表した。商行為事案については国家実行の数が膨大であり、かつ、不動産事案および不法行為事案との概念区分が容易ではないことから、その分析にいましばしの時間はかかると思われるが、それはH24年度に実施予定の不法行為事例の検討と併せて実施することが可能であり、かつ合理的であることから、おおむね順調に進展していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

商行為事案に関する分析に一定の時間がかかることが予想されるが、各事案類型に関して掘り下げ、ひいてはこの研究の究極的な目的である「国家免除」という制度の意義と機能を解明するには、1つの事案類型を集中的に検討することに加え、それと他の事案類型との比較検討が不可欠であることから、H24年度の主たる研究対象である不法行為事案と並行して検討をすすめていくことで、両事案の関係性をも含めてより一層その規範内容を明らかにすることができると考えられる。これは不法行為事案に関する国家免除の解明にも資することとなろう。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 不動産に関する裁判手続における国家の裁判権免除2012

    • Author(s)
      坂巻静佳
    • Journal Title

      国際関係・比較文化研究(静岡県立大学)

      Volume: 10巻2号 Pages: 173-191

URL: 

Published: 2013-06-26  

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