2011 Fiscal Year Annual Research Report
失業時生活保障における就労自立支援の権利構造-イギリス法を素材として
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22730048
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
丸谷 浩介 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (10310020)
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Keywords | 公的扶助 / 生活保護 / 求職者支援法 / イギリス / 積極的雇用政策 / 政権交代 |
Research Abstract |
【研究成果の具体的内容】 失業時生活保障としては(1)公的扶助と(2)社会保険、(3)失業扶助の制度が対応するが、これらの日英比較について、(1)日本の生活保護法における就労支援、(2)日本の失業扶助(求職者支援法)による就労支援、(3)イギリスの社会保険と公的扶助における就労支援についての論文を公表した。 【研究成果の意義】 日本の失業時生活保障システムは、とりわけリーマンショック以降は欧州型を模しているが、その発展形態は日本とイギリスでは似て非なるものであるので、単純な制度模倣は検討しなければならない課題が噴出する。 近年の日本の政策が模範にしているイギリスの就労支援と生活保障とのリンケージは、イギリスの制度が抱えている法的問題を検討することなしに、成功することができないであろう。本研究では、イギリス法の「行き詰まり」に光を当てることによって、その点を明らかにすることができたものと考える。 【研究の重要性】 日本では政権交代によって雇用保険と生活保護の中間に新たに求職者支援法を設置した。この制度の成否は積極的雇用政策と運命を共にするのであるが、イギリスではこの綻びが見え始めている。労働党から保守党へと政権交代をなしたイギリスではこの点を大きく変えようとしており、今後の日本のあり方を考える場合に重要な視座を提供している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している論文を計画通りに公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
日英の比較法研究としての体系性をもたせるために、全体構造を再構成するとともに、不足分の調査研究を行う。イギリス法の改正をふまえつつ、日本との比較の点で有用な体系性を構築することとする。進捗が芳しくなければ現地調査等を踏まえ、現地の研究機関を活用しつつ集中的に進めることにする。
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