2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故と社会保障―産科医療補償制度と社会保障法制の交錯に関する法的分析
Project/Area Number |
22730050
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 准教授 (40348892)
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Keywords | 社会保障法 / 産科医療補償 |
Research Abstract |
本研究は、2009年1月に医療事故無過失補償制度として発足した「産科医療補償制度」との関係において、医療保険者の役割・機能の現代的意義とその射程を明らかにすることを目的とする。研究初年度である平成23年度は、文献・資料調査を通じて、わが国の産科医療補償制度の法的分析及び法的論点の抽出を行い、同制度の法的特質及び制度的課題を検討した。 産科医療補償制度は、分娩機関が同制度に加入し、運営組織((財)日本医療機能評価機構)に掛金を支払い、運営組織が民間損害保険会社に保険料を納付する民間保険ベースの仕組みである。分娩機関が支払う掛金は医療保険給付の出産育児一時金の加算で賄われていることから、分娩事故という限定的な範囲ではあるが、国民が広く医療保険制度を通して産科医療補償制度の財源を支える仕組みであると理解できることが明らかになった。そして、医療事故の被害救済と国民連帯のあり方の規範的検討が重要であることが分かった。 本年度の研究成果の一部は、日本社会保障法学会第58回秋季大会のシンポジウム「医療制度改革の到達点と今後の課題」において「医療安全対策の展開と課題-医療サービスの質と安全性の向上にむけて」として報告を行った。報告内容は、日本社会保障法学会(編)『社会保障法第26号』(法律文化社、2011年)に収載予定である。
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Research Products
(2 results)