2011 Fiscal Year Annual Research Report
非正社員に対する均等待遇の法的根拠・意義と射程―EUとイタリアから
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22730052
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
大木 正俊 姫路獨協大学, 法学部, 講師 (00434225)
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Keywords | 社会法学 / 雇用平等 / イタリア / EU / 均等待遇 |
Research Abstract |
初年度の成果を踏まえて、パートタイム労働法における『均等待遇』『均等処遇』の分析に焦点を当てて研究活動をおこなった。EUの間接性差別については、当初の研究計画どおり、欧州司法裁判所の裁判例の分析をすすめており、一定の結論が得られる直前にあるといえる。 初年度の研究では、イタリアの非正社員に関する立法は、戦後イタリア労働法規制の中心的な手段であった集団的自治すなわち、産業別の全国労働協約を通じた労働条件規制のあり方と深い関連をもっている可能性があることが看取されている。 そのため、今年度は、イタリアの戦後労働法規制を形作ってきた集団自治の有り様に関して、集団的自治と極めて密接な関係をもつ集団的労使紛争の処理制度のあり方の検討を通じて分析をおこなってきた。その成果は、季刊労働法誌の論文に結実している。 集団的労使自治については、イタリアの雇用平等に関する議論、特に女性の差別禁止に関する議論と均等待遇の議論とも関連するものであるため、当初の計画に加えて、特に第二次世界大戦後のイタリア憲法制定後の憲法の平等規定をめぐる議論の変遷に焦点をあてつつ、その点も考察している。この点については、近いうちに研究成果を論文の形で公表するつもりである。 また、初年度に得られたパートタイム労働法における『均等待遇』と『均衡処遇』に関する現在の理論の到達点および問題点についても、季刊労働法誌の論文として公表して世に問うている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EUの間接性差別に関する裁判例の分析については、成果の発表という点でやや遅れているものの計画通りの研究にほとんど支障がない程度にとどまっている。当初の計画通りの研究を進め、その成果の一部については論文で公表できており、おおむね順調な研究の進捗状況だと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究も順調にすすんでおり、成果の一部もすでに公表しているほどであることから、とくに従来と研究方法を変更する必要はないと考えている。裁判例の分析やイタリアの議論の分析を丹念にすすめていく。
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