2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730072
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松中 学 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (20518039)
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Keywords | 民事法学 / 会社法 / 敵対的買収 / 防衛策 / 反買収規制 |
Research Abstract |
本研究は敵対的買収法制について、(1)日米でどのように異なるのか、(2)なぜ異なるのかを他の社会科学の成果も踏まえて明らかにした上で、(3)わが国における望ましい法制度のあり方を検討するものである。本年度は、アメリカ、特にデラウエア州における敵対的買収に関する法制の形成過程を分析した。とりわけ、デラウエア州に赴いて立法資料を調査した上で、これまであまり研究されてこなかったデラウエア州会社法の反買収規制がどのように形成されたのかを分析した。ここでは、デラウエア州会社法203条の第1世代の条文の形成、およびそれが実質的に効力を失った後、第2世代(現在)のものが制定された期間を中心に、デラウエア州において判例が中心となって敵対的買収法制を形成し、他方で議会は副次的な役割を果たしていたこと、いずれにおいても明確に取締役会中心のモデルが採用されてきたことを明らかにした。これは、論文として公表する予定である。 そして、わが国の敵対的買収法制についての検討も進め、既に検討した判例に加え、関連する他の判例および、その後に登場した判例、証券取引所による自主規制について分析を行っている(学会発表)。また、MBOをはじめとして、わが国のM&Aに関する法規制が急速に発展しており、これも間接的に敵対的買収に関わるため検討を行い、その一環として株式買取請求権の制度の現状と問題点について明らかにした(論文1本目)。さらに、本研究の特色の一つである法の形成がどのように行われるのかについての分析は、会社法についての研究ではないが、常木淳(大阪大学・社会経済研究所)との共著の論文にも反映され、本研究の視点が他の分野にも有用であることを示している(論文2本目)。
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Research Products
(3 results)