2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
デアウカンタラ マルセロ 大阪大学, 法学研究科, 講師 (20565676)
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Keywords | 親子法 / 母子関係 / 自然生殖 / 認知 / 分娩 |
Research Abstract |
平成23年度は2年目となる中間年度であり、主として「法律上の母子関係の決定とその制度に関可る研究」についての資料収集を継続するとともに、その分析を比較法の観点から行った。例えば、英米法では、以前は嫡出子については当然発生主義が採用され、母子関係は分娩によって発生したが、非嫡出子については「誰の子でもない子」という基本的考え方があり、それは一見当然発生主義への制限のように見える。しかし、非嫡出子が「誰の子でもない子」であるという考え方は、非嫡出子と母との間に母子関係が成立しないことを必ずしも意味するものではなかったことがわかった。 このような比較法の観点からの分析は、本研究の目的である「自然生殖の領域において法律上の母子関係を決定する基準を明確にすること」を実現するために不可欠なものであると考えている。また、自然生殖の領域に限らず、生殖補助医療によって生まれた子の法律上の母子関係確定、特に母の定義をめぐる国際的な議論の展開や裁判所の認識の変化についても検討する必要があると考えた。 このため、本年度は22力国の専門家が集まった「国境を越える代理出産問題」に関する学会に参加し、国際代理出産における母子関係の決定についての情報交換と意見交換を行った。その成果として、日本における代理出産の現状と母子関係確定をめぐる諸問題について論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を構成する三つの研究項目である、1「分娩者=母という考え方の起源に関する研究」、2「法律上の母子関係の決定とその制度に関する研究」、3「母子関係確定の法的基準の要素に関する研究」についての関係資料を収集・整理することができ、様々な研究者と意見交換を行いながら、その分析作業に従事しており、順調に計画を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、これまでの研究遂行上の問題点や研究計画に大きな変更はないと考えている。今後1年間の課題としては、母子関係を決定する法的基準の要素(遺伝主義、分娩主義、意思主義、多元主義)に関する理解を深めるとともに、研究を全体的にまとめ、総括を行う必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)