2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730083
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊 素寛 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80313055)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 巨大リスク / 保険 / テロ / 民事責任 / 被害者救済 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不法行為法・会社法等の民事諸法における民事責任の問題について、民事責任を基礎づける民事諸法の観点と被害者救済を実効化する保険の観点の双方から研究を行い、民事責任と保険の相互関係を考察することにある。4年間の研究期間の3年度目である2012年度は、研究実施計画に基づき、主として保険の観点から巨大リスクに関する研究を行い、学会報告と業績の公表に至った。具体的には、以下の通りである。 第一に、従来より研究を行っていたテロの問題に関し、私法学会のワークショップ「巨大リスクに対する私法的アプローチ―同時多発テロが提起した問題」において、米国同時多発テロが提起した私法上の諸問題(巨大リスクと保険、不作為による民事責任の可能性、テロ保険の性質、被害者救済等)についての現時点での研究成果を報告した。 第二に、法と経済学会のシンポジウム「防災と財産権のコントロール」において、パネリストとして、震災と保険の問題を中心に報告を行った。同報告は、現行法における各種災害のリスク負担枠組、各災害に対する保険の入手可能性について検討を行ったうえで、保険が入手困難であることについて、理論的側面からの検討を行うとともに、政府の役割と市場の限界を検討したものである。 第三に、巨大リスクと保険に関して、論文を公刊した。この論文では、保険法と約款の免責事由を出発点に、巨大リスク一般及び個々の巨大リスクの特徴と巨大リスクに対する保険の成立に関する問題点について、主として理論的観点からの研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会報告2回、論文1本の公表を行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、現時点までに研究成果の報告の方向性が見えている課題について、業績の公表あるいは脱稿を目指す。
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Research Products
(4 results)