2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730087
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 竹志 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (80452803)
|
Keywords | ケア / アーキテクチャ / 民事紛争処理 |
Research Abstract |
本年度は、主にケア関係の書籍を収集・調査した。また、紛争処理におけるゲーム・ケア・アーキテクチャの三幅対が顕在化する現代的な紛争形態として、消費者紛争に着目し、特に近時立法の動きが活発な集団的消費者被害救済制度における立法論の動きを見るべく、平成22年度消費者法学会に出席し、立法過程に携わる研究者の知見を直接見聞する機会を得たほか、福岡県における消費者保護NPO団体である「消費者支援機構福岡」に参加し、そこで行われる様々な個別紛争処理や、消費者保護のための仕組み作りの議論の現場に触れた。 その結果、ゲーム・ケア・アーキテクチャの三概念は、それぞれ、名指しができる対象を持った実体的な概念ではなく、個々の事象を分析的に把握するための概念群であって、例えば単一の消費者紛争の中にも、ゲーム的・ケア的・アーキテクチャ的なアプローチを混在させながら、トータルな解決を模索しなければならないことが明らかになった。また、紛争処理の上記三モードを考察するに当たっては、それに連動する形で、紛争主体がいかなる存在なのか(主体概念)、紛争処理に当たって誰のどのような責任負担が顕在化するか(責任概念)の検討が不可欠であることが明らかになった。 平成23年度には、アーキテクチャ概念についてのさらなる資料収集・分析のほか、主体概念については特に2000年以降の法社会学会における議論の蓄積、責任概念については、特に法哲学会における議論の蓄積等を参照しながら、ゲーム・ケア・アーキテクチャの三幅対についての論考を発表することを予定する。また、可能であれば法社会学会等での個別報告を行えるよう試みる。
|