2011 Fiscal Year Annual Research Report
資本市場法的規律による企業結合法制構築の意義と限界
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22730097
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 准教授 (80454479)
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Keywords | 民事法学 |
Research Abstract |
本年度前半においては、前年度から引き続き、企業結合における子会社少数株主保護が必要な典型的局面である締出し規整のあり方について調査を行った。まず、ドイツ法を中心としたヨーロッパにおける締出し規整のあり方について調査をした。また、アメリカ法における締出し時の少数株主保護策として有効であると考えられる対抗買収の出現機会を確保するという対象会社取締役の義務について、過去の研究発表を基にしつつも本研究の成果を踏まえて全面的に書き換えた論文を公表した。特に、その結論部分たるわが国の解釈論・立法論の展開に際して、締出し(買収)の舞台となる資本市場の特性を踏まえたルールの策定の必要性を述べるなど、本研究の成果を反映したものとなっている。 本年度後半では、主としてドイツをはじめとしたヨーロッパにおける企業結合法制の今日的展開について調査・研究を行った。折しも、法制審議会会社法制部会において企業結合に係る法改正の論議がなされているところ、平成23年12月に法務省民事局参事官室より「会社法制の見直しに関する中間試案」が出され、これがパブリックコメントに付されていたことから、本研究の成果を踏まえてこれに対する意見を提出する(ただし詳細な内容は未公表)一方、特に子会社少数株主保護の立法論について、ヨーロッパにおける議論を踏まえて、上記中間試案の具体的な問題点を指摘する論文を公表するなど、具体的な立法への働きかけを試みた。後者の論文は、子会社少数株主の保護のみを論ずる場合であっても、親会社・子会社双方の利益を考慮に入れつつ企業結合の形成・解消と運営とを一体的に把握する必要性を訴えており、わが国の企業結合法制の全体像のあるべき姿を示す一つの端緒として、次年度の研究に繋がる成果でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度の研究成果をそのままの形では公表できていないものの、その成果を踏まえつつ、平成24年度に予定していたわが国の企業結合法に関する具体的な提言についての端緒となる論文(「グループ利益の追求と『親会社の責任』規定」)を公表できたことから、総じて順調に進展していると評価してよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に推移しており、今後も研究計画通りに遂行することを予定している。
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