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2012 Fiscal Year Annual Research Report

海上保険法制の中での損害防止費用負担義務にかかる実証的研究

Research Project

Project/Area Number 22730098
Research InstitutionKinki University

Principal Investigator

野口 夕子  近畿大学, 法学部, 教授 (40314794)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords商法 / 保険法 / 保険契約 / 海上保険 / 損害保険 / 損害防止義務 / 損害防止費用負担義務 / 英国海上保険法
Research Abstract

本研究は、個々の保険約款及びその運用をはじめとした保険実務の歴史的変容に関する実証的な検討を通じて、損害保険契約にかかる法制度の中で損害防止義務及び損害防止費用負担義務にかかる規定が如何なる実体的根拠に基づいて生成されるに至ったのかを解明することを最終的な目的とするものである。 わが国保険実務における損害防止義務並びに損害防止費用負担義務にかかる約定及び運用が大きく変容したのは、1989年4月1日改定・実施された貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに翌1990年4月1日に改定された船舶保険普通保険約款においてである(詳細は、拙稿「損害防止費用負担義務の制度的淵源」近畿大学法学55巻2・4号)。損害保険法制において損害防止義務及び損害防止費用負担義務が設けられるに至った実体的根拠の解明を目的とする本研究ではまず、その足掛かりとして、時を同じくして損害防止費用負担にかかる約定を改定するに至った上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款において、その過程を辿る中で改定理由を明らかにすることが先決となる。そのためにはまた、上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款の改定作業を克明に記録した保険約款改正議事録が必要不可欠となることは、研究計画等において当初から述べてきたところである。 しかしながら、前年度までの調査において各保険約款改正議事録の入手が困難であることが予想されることから、本年度は、研究実施計画に従って、前年度に引き続き、当該議事録の入手に努めるとともに、当該保険約款改定作業に携わった研究者への聞き取り調査並びに上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款改定に関連する文献・資料の収集に重点を置いた研究を行った結果、聞き取り調査及び関連資料の渉猟については一定の成果を上げることができたと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

損害保険法制において損害防止義務及び損害防止費用負担義務が設けられるに至った実体的根拠の解明を目的とする本研究においては、1989年4月1日改定・実施された貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに翌1990年4月1日に改定された船舶保険普通保険約款において、損害防止費用負担にかかる約定が改定されるに至った過程を辿る中で、かかる改定理由を明らかにすることが先決であること、そのためには上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款の改定作業を克明に記録した保険約款改正議事録が必要不可欠となることは、前記【研究実績の概要】に示す通りである。
そこで、本年度も、前年度に引き続き、国内研究機関をはじめ、各保険会社にかかる保険約款改正議事録の有無を確認するとともに、その開示を求めた。また、当該保険約款改定作業に携わった研究者へのアプローチも試みたものの、現在のところ、保険約款改正議事録の入手可能性はほぼ皆無であると言わざるを得ない。そのため、後記【今後の研究の推進方策】に示すように、当初の研究計画を大幅に見直し、変更することが避けられない。
しかしながら、最終年度(平成25年度)に研究成果として論文を公表するという当初予定に照らし、研究計画において想定していた各種資料収集並びにそれらを踏まえた考察については、前記【研究実績の概要】に示す通り、順調に進捗していることから、現在までの達成度については「(3)やや遅れている」を選択することが妥当と思われる。

Strategy for Future Research Activity

前記【研究実績の概要】並びに【現在までの達成度】にあるように、1989年4月1日改定・実施された貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに翌1990年4月1日に改定された船舶保険普通保険約款において、損害防止費用負担にかかる約定を改定するに至った実質的根拠を明らかにすることが先決であり、そのためにはかかる保険約款改正議事録の入手が本研究の最終的な目的を達成する上で必要不可欠である。しかしながら、本研究の開始当初から種々の方法をもってその入手に当たってきたにも拘わらず、かかる保険約款改正議事録の入手可能性が皆無であることは、前記【現在までの達成度】の理由中に示した通りである。 そのような現状にあって、本研究の目的を達成するための代替手段として、上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款の改定作業に関わった関係者へのインタビューと並行して、インタビューによって得られた内容を参考にしつつ、次年度は研究計画を大幅に変更し、わが国において、当時の海上保険実務を取り巻く状況並びにかかる研究論文の精査に加え、上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款の改定に多大な影響を及ぼしたと考えられる英国を中心とする国際海運情勢や国際海上保険実務に関する文献を詳細に検討することにより、上記貨物海上保険・運送保険普通保険約款並びに船舶保険普通保険約款中の損害防止費用負担にかかる約定が如何なる理由で改定されるに至ったのかを考察することに主眼を置き、最終年度となる次年度において当該研究の成果をかたちにしたい。

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Published: 2014-07-24  

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