2011 Fiscal Year Annual Research Report
権利者・利用者双方に親和的な情報通信技術・サービスを構築する効率的な法の創造
Project/Area Number |
22730101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
HAZUCHA B 北海道大学, 大学院・法学研究科, 特任准教授 (30452808)
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Keywords | 著作権 / 著作隣接権 / 間接侵害 / 情報通信技術 / 直接侵害 / アンケート |
Research Abstract |
昨年度は以下の3つに焦点を当てて研究を行ってきた。 a)近時出された関連裁判例(例えば、日本のロクラク事件最高裁判決及びまねきTV事件最高裁判決、アメリカのArista Records LLC v.Lime Group LLC事件及びViacom International, Inc. v. YouTube, Inc. 事件)について分析したほか、デジタル環境下での著作権権利行使に影響を与える要素に関する近時の実証研究の文献をも渉猟した。 b)札幌市の10の行政区の中から3つの行政区を抽出し、さらに無作為抽出法によりこれら3つの行政区に居住している900名の市民を対象として、郵送によるアンケート調査を行った。本アンケート調査に基づいて分析した結果、回答者は、他人の許諾を得ずに無体物を利用することが不正な行為であるということについて明白に認識していることが示された。回答者は、有体物を盗むことは、創作者の許諾を得ずに無体物を利用することに比してより不正な行為であると考えるものの、回答者が認識している両者間の差は著作権者や多くの政策決定者が思うほど大きなものではないことも本調査により判明された。同時に、本調査は、回答者が著作権法に違反することに対する理解は、有体物を盗むことと類似した概念に基づいたものであることも示している。このことから、一般の人々の著作権法に対する認識は、現行日本著作権法(特に厳格責任を採る最近の法改正)の条文と著しく相違するものであるということができよう。 c)台湾の政府関係者(例えば、台湾智慧財産局、知的財産権保護警察大隊)、台湾知財高裁裁判官、権利者側である企業(例えば、テレビ放送会社)、台湾の著作権集中管理団体(例えば、RIAT、MUST)、弁護士を対象に、台湾の著作権法と著作権者・利用者が現在直面した問題についてインタビューを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、日本において著作権者側を代表する会社・権利集中管理団体、そして技術・サービス提供者を対象にインタビューを実施したほか、台湾においても著作権者側代表団体、著作権政策当局、裁判官ならびに弁護士にインタビューを行った。また、著作物の利用者側の観点及び理解を知るために、札幌市で街頭アンケート調査及び郵送によるアンケート調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度には、日本全国の著作物利用者を対象とするオンライン調査を実施する予定である。オンライン調査により得られたデータを分析した上で、札幌で実施した街頭アンケート調査及び郵送によるアンケート調査のデータと比較し、札幌で行われた調査の結果の信頼性を確認する。さらに、今まで蒐集してきたインタビュー及び調査結果の正確性を再確認するために、著作権者側を代表する他の関連団体や会社及び利害関係者へのインタビューをも実施する予定である。
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Research Products
(6 results)